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ウサギの食事ガイド:主食からおやつまでの完全マニュアル【第2回】:牧草の選び方~ウサギの健康を支える必須食品~

下痢をするからウサギには生野菜を与えないように、と言われることがありますが、実際は生野菜を与えることが原因で下痢をするわけではありません。

健康な胃腸を持ち、牧草をしっかり食べている子は生野菜を与えても問題ありません。

では、なぜ下痢をすることがあるのか、その理由について説明していきます。

本来ウサギの消化管には牧草以外にも生の草木を消化する能力が備わっています。

自然界に生きるウサギたちの食事にはペレットは存在しないので、生の草木や枯草などを咀嚼し、盲腸内で発酵させ、盲腸糞を排出し、それを再度食べることで栄養を補っているのです。

しかし、家庭で飼育されているウサギたちはペレットやおやつなどを食べる機会が多く、食生活によっては本来の消化吸収機能が発揮されず、生野菜をうまく消化できなくなってしまうことがあります。

人間も食べ慣れないものを急にたくさん食べるとお腹の調子を崩すことがありますが、ウサギにも同じことが起こります。

ウサギ本来の消化機能を整えるためには、牧草だけでなく適度に生野菜を与えることを推奨しています。

ウサギ本来の胃腸の働きがあれば、人間が2-3人で食べるくらいのサラダボウル1杯分は余裕で食べることができます。

しかし、自宅でその量を与えることはおすすめしません。家庭で飼育されているウサギたちは野生のウサギと異なり、運動量が圧倒的に少ないからです。

運動量が少ない分、野菜を与えすぎるとすぐにお腹がいっぱいになってしまい、牧草を食べる量が減り、繊維質不足で下痢や軟便の原因となります。

繊維質を基本として水分や栄養素をバランスよく摂取するために、生野菜は様子を見ながら少しずつ与えていきましょう。

1.生野菜を与えることのメリット、デメリット

牧草の繊維質は消化吸収機能に重要な役割を持ちますが、水分摂取量が減ることで消化管内で固まったり、詰まったりすることがあります。

その他にも、水分量が少ないことで尿路結石や腎臓病などの原因となることもあります。

牧草とペレットだけを与える場合、水分摂取量を増やそうと思うと、ウサギが自力で水を飲んでくれるように工夫するしか方法がありませんが、なかなか飲んでくれないので手間がかかります。

しかし、生野菜を食べてくれる子であれば、野菜から水分を摂取することができるため、水単体で与えるよりも容易に水分量を増やすことができます。

また、食欲不振などで強制給餌が必要になった際にも、水分のある食事を食べているかそうでないかで食事療法の許容できる範囲が変わります。

普段の食生活が牧草やペレットなどの乾いたものが中心となっている子は水気のある食事を極端に嫌うことがあります。

強制給餌は生野菜で作ったペーストや粉状の栄養食で作った流動食を使用するため、給餌を行っても咀嚼しない、口から出してしまう、などの抵抗がみられることがあります。

生野菜に慣れている子は流動食への抵抗感が少なく、飲んでくれることが多いものです。

ウサギは食欲不振・消化機能低下をよく起こす動物なので、少しでも治療のストレスが少なくなるように、生野菜を与えておくことを推奨します。

一方で、繊維質よりも水分量が上回ってしまうと、消化吸収機能のバランスが崩れ、軟便・下痢・食欲不振などの原因になります。生野菜中心の食生活では奥歯もあまり削れないので、不正咬合になることもあります。

生野菜の適切な量はその子その子によって異なります。まずは葉物野菜1枚からスタートし、食欲やうんちの様子を見ながら少しずつ増やしていきましょう。

2.おすすめの生野菜、あげてはいけない生野菜

生野菜を与える際は、水分量が多くヘルシーな葉物野菜を基本とします。年中入手しやすい小松菜や青梗菜、レタス、キャベツなどをベースとして、季節ごとに旬の生野菜を取り入れていきます。

葉物以外にもニンジン、ブロッコリー、きゅうり、トマトなどを与えてもよいですが、これらはカロリーが高いので薄く輪切りにしたもの1枚にするなど、少量のみ与えるようにしましょう。

人間の一口サイズを基準にしてしまうと与えすぎになるので注意が必要です。

与えてはいけない生野菜がいくつかあるので、それだけは忘れないように注意しましょう。

①玉ねぎ・ネギ類:刺激が強く、中毒を起こす

②ニンニク・にら類:アクが強く、刺激性が強い

③ほうれん草:シュウ酸を多く含み、シュウ酸カルシウム結石の原因となる

最初は食べ慣れないためおうちの子が何を好むかも分かりにくいですが、料理に使った残りでも構わないので、色々試してあげてください。

可能なら毎食3-4種類を少量ずつ与えてバランスのよい食事を心がけます。また、生野菜は切らずに洗ってそのまま与えてよいですが、食べにくそうな場合は食べやすい大きさに刻んでも大丈夫です。

こだわりが強い子は小さく刻むと逆に食べないこともあるので、性格を考慮して与え方を工夫しましょう。

生野菜は傷みやすいので、与えてすぐに食べない場合は1-2時間したらケージから取り出してください。1日に1-2回はコンスタントに与えるようにしましょう。

与え方に迷ったとき、あげていいかわからない生野菜がある時などはお気軽にクロス動物医療センター港南台までご相談ください。

 

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監修 堀間莉萌獣医師 
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