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ウサギの目から涙が流れていて止まらない。目元の毛が常に湿っている。
そんな症状を見かけたことはありませんか?
多くの場合、そこには何らかの病気が潜んでいます。
今回はそのなかから、ウサギの角膜損傷について詳しく解説し、適切な対応をご紹介します。
今後、ウサギの「涙が止まらない」症状に関連する他の疾患も順次取り上げていきますので、ぜひご参考にしてください。

 

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(1)角膜損傷 ※本記事

(2)結膜炎

(3)鼻涙管閉塞

(4)歯牙疾患

(5)感染症

 

ウサギの角膜損傷とは

角膜損傷はウサギの流涙の原因となる疾患の一つであり、角膜潰瘍、角膜炎などが含まれます。
角膜潰瘍とは、角膜に傷がつき、角膜の表面がはがれる疾患です。角膜炎は、角膜に炎症を起こした状態を指します。
目に痛みや違和感を生じ、ウサギ自身が気にして掻いたりこすったりすることで、角膜穿孔(角膜に穴があくこと)が起こることもあります。
早期に発見し適切な治療を行うことが、視力を保つためには重要です。
本記事では、ウサギの角膜損傷の原因・症状・治療法・予後について詳しく解説していきます。飼い主としてウサギの健康を守るために、角膜損傷に関する知識を深めましょう。

原因

角膜損傷は、外傷や感染症などが原因で引き起こされます。
ケージ内の鋭利な物や不適切な遊具、他の動物との接触、爪が伸びた状態での毛づくろい等で、角膜は損傷を受けます。
牧草に顔をうずめて食べるウサギでは、牧草の先端が眼に刺さることもあります。
基礎疾患にアレルギーや鼻涙管閉塞、結膜炎、涙嚢炎などがあると、目に違和感が生じ、ウサギ自身が気にしてこすり続けて、角膜を傷つける場合もあります。
また、細菌やウイルスなどの病原体の侵入による炎症も、角膜を傷つける原因になります。
結膜炎や鼻涙管閉塞なども、感染症による角膜潰瘍や角膜炎を引き起こすことがあります​​。

症状

角膜損傷を起こしている場合、結膜やまぶたに赤みがみられることや、涙や目やにが増えることがあります。特に黄色や緑色の目やにが出ている場合は、感染症を併発している可能性が高いので注意しましょう。
ウサギが目に痛みや違和感を感じていると、頻繁に目をこする、顔をこすりつける、まばたきを繰り返す、目が開きにくそうにするなどの行動が見られます。
症状の経過が長い場合や、角膜が重度にダメージを受けている場合、角膜表面へ血管が新しく作られ栄養を運んで角膜を治そうとする血管新生や、角膜のむくみ、角膜膿瘍が見られることがあります。

診断

専用のライトを使用した角膜の観察や、角膜染色検査での傷の確認が必要になります。
痛みの伴う検査ではないため、多くのウサギで実施が可能です。

治療

軽度の角膜潰瘍や角膜炎の場合、角膜保護を目的としたヒアルロン酸の点眼薬や、感染を抑えるための抗生物質の点眼薬を使用することで回復が期待できます。
感染が強く起こっている場合は、数種類の抗生物質の点眼薬を使うこともあります。
痛みや違和感が強い場合は、消炎鎮痛剤や、エリザベスカラーを使用することもあります。これによりウサギ自身が更に角膜にダメージを与えるのを防ぎます。
重度であったり短期間で繰り返す場合、点眼治療では完治せず、角膜を保護するための手術が必要となることもあります。

予後

角膜損傷の予後は、早期の診断と適切な治療が行われるかどうかに大きく依存します。
早期に治療を開始すれば、多くの場合、完全な回復が期待できます。
しかし、治療をせずに放置すると、角膜穿孔や水晶体脱臼などの治りにくい病変へ進行したり、慢性化してクレーター状に角膜潰瘍を起こしたり、視力低下や、さらなる眼疾患を引き起こす可能性があります。
ウサギの目に異変を感じたら、すぐに動物病院で診察を受けることが重要です。

 

ウサギの角膜損傷は、早期治療で回復が期待できる疾患です。飼い主としてウサギの目の健康を守るために、環境の清潔・安全を保ち、変化をいち早く発見することが大切です。
もしウサギの目に異変を感じたら、クロス動物医療センター港南台までお気軽にご相談ください。

 

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監修 堀間莉萌獣医師 
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