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ウサギの目から涙が流れていて止まらない。目元の毛が常に湿っている。
そんな症状を見かけたことはありませんか?
多くの場合、そこには何らかの病気が潜んでいます。
今回はそのなかから、ウサギの鼻涙管閉塞について詳しく解説し、適切な対応をご紹介します。
ウサギの「涙が止まらない」症状に関連する他の疾患も順次取り上げていきますので、ぜひご参考にしてください。

 

連載記事一覧はこちら(タイトルをクリックするとリンク先へ)

(1)角膜損傷

(2)結膜炎

(3)鼻涙管閉塞 ※本記事

(4)歯牙疾患 【執筆中】

(5)感染症

 

ウサギの鼻涙管閉塞とは

鼻涙管(びるいかん)とは、目頭から鼻に繋がる細い管のことを指します。分泌された涙のうち、余分なものがこの管を通って鼻へと流れていきます。
鼻涙管閉塞は、様々な要因により鼻涙管に詰まりが生じ、涙が目から鼻へ正常に流れなくなる疾患です。適切な治療を行わないと、重篤な眼疾患や感染症を引き起こす可能性があります。

原因

鼻涙管閉塞は、物理的な閉塞、歯牙疾患、感染症、遺伝的要因などが原因となって起こります。
鼻涙管内に細かいゴミや牧草、毛などの異物が入り込んで炎症を起こしたり、鼻涙菅内で涙の成分が固まってしまうことで、閉塞する場合があります。
人間や他の動物の涙と異なり、ウサギの涙には長時間目を開けておくためにタンパク成分が多く含まれています。そのため涙が固まりやすく、閉塞が生じやすいのです。
また、歯の問題も鼻涙管閉塞の一因です。
特に、歯並びの異常である不正咬合(ふせいこうごう)や、歯根(歯の根本の部分)の感染・変性部位が鼻涙管を圧迫し、閉塞を引き起こすことがあります。
歯根は鼻涙管の近くに位置しているため、歯の健康状態が鼻涙管に直接影響します​​。
食事内容によっては、歯根部分に負担がかかることで鼻涙管へ刺激が加わり、閉塞が悪化する原因になります。
さらに、細菌やウイルスの感染による鼻涙管の炎症も、閉塞の要因の一つです。結膜炎や涙嚢炎、その他の眼疾患が引き金になることもあります。
ドワーフ種やロップイヤー種などの小型のウサギは遺伝的に丸顔であるため、鼻涙管の狭窄が起こりやすい傾向にあります。

症状

涙や目やにの増加、目の周囲の皮膚のただれ、目の赤みなどが鼻涙管閉塞の主な症状です。
鼻涙管が閉塞することで涙が鼻へ正常に流れず、目の周りに溢れ出して常に湿った状態になります。
ウサギの涙の成分は固まりやすく、水ではほぐれにくいため、毛が固まって湿性皮膚炎や脱毛を引き起こします。
目に違和感や痛みを感じることで、頻繁に目の周りを擦り付けることもあります。

診断

視診、触診、口腔内のチェック、角膜の染色検査、食事内容の確認などを主に行っていきます。
歯根の変性が関与している場合には、レントゲン検査やコンピュータ断層撮影(CT)を行います。

治療

鼻涙管内を洗浄することで治療を行います。
細いカテーテルを用いて、まぶたの内側から生理食塩水などの洗浄液を注入することで、詰まっていた内容物が鼻から排出されます。
一度の洗浄で完治することは少なく、多くの場合定期的な洗浄が必要になります。
感染症が原因の場合や、結膜炎、涙嚢炎、鼻涙管炎を併発している場合は、内服薬や点眼薬で抗生物質を投与する必要があります。
また、歯牙疾患が根本にある場合は、不正咬合の治療や食事内容の変更を行うこともあります。歯の健康を維持することで、鼻涙管閉塞の再発防止に繋がります。

予後

鼻涙管閉塞の予後は、早期の診断と適切な治療が行われるかどうかに大きく依存します。
早期に治療を開始すれば、多くの場合改善が期待できますが、再発や、継続的な治療が必要になる可能性があります。
特に、歯牙疾患や遺伝的要因が関与している場合、再発のリスクは高まります。
鼻涙管閉塞を放置してしまうと、重度の涙嚢炎を起こしたり、慢性的な炎症によって完全に閉塞しまい、治療困難となるケースもあります。定期的な健康チェックが重要です。

 

ウサギの目の健康を守るためには、飼育環境を清潔に保ち、食事管理を正しく行うこと、異常を早期に発見することが大切です。
ウサギの目に関するご相談は、クロス動物医療センター港南台までお気軽にどうぞ。

 

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(2)結膜炎

(3)鼻涙管閉塞 ※本記事

(4)歯牙疾患 【執筆中】

(5)感染症

 

 

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監修 堀間莉萌獣医師 
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